岸田政権は資産所得倍増計画しつつ金融所得課税強化するのか?

岸田首相がロンドンの金融街、シティーで講演した内容に「資産所得倍増計画」を発表しました。
日本の金融資産2,000兆円の内、約1,100兆円が現預金として保有しており、これを投資へ有効活用したいというものです。

個人的には金融所得課税も検討しており、そもそも所得課税に対してどうしたいのかの判断が付かないところです。
とはいえ、私達個人投資家にとっては重要な話題になっていきそうです。

資産所得倍増計画とはなにか?

まずは資産所得倍増計画の背景を見てみましょう。

端的に言うと、日本の個人金融資産約2000兆円を貯蓄から投資へと誘導する「資産所得倍増プラン」です。
岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の政策の一つとしています。

日本の個人金融資産約2000兆円を貯蓄から投資へ促すことが最大の狙いです。

確かに日本の金融資産は大きなポテンシャルになるでしょう。

日銀が3月17日発表した2021年10~12月期の資金循環統計(速報)によると、21年12月末時点で家計の金融資産は前年同期比4.5%増の2023兆円と、初めて2000兆円を突破しています。

日本銀行の参考図表 2021年第4四半期の資金循環 (速報) を見てみましょう。

2023兆円の内の半分以上の1,092兆円が現金・預金です。

この1,000兆円の内のいくらかが金融市場に流れ込めば、所得としては増えていきます。
もし半分の500兆円を3%で運用できれば、15兆円規模の所得が増える計算になります。

投資が日本の所得が増えない要因?

今回の資産所得倍増プランの根幹にあるのは2,000兆円の金融資産の半分が現預金で持っている結果として、日本の所得が他の国と比べて成長していない一要因だと考えてるからです。

10年間で米国では家計金融資産が3倍、英国は2・3倍になったのに、対して日本では1・4倍にしかなっていない」とコメントしています。

2011年の金融資産は1,483兆円でした。
確かにこの10年で約600兆円の増加と4割程度の増加となっています。

もし、ここで金融投資が活発になり2倍に増えていれば、800兆円ほどさらに増加して2,800兆円程度の金融資産になっていたはずです。

日本のGDPは546兆円ですので、もし投資が活発化していれば日本の1年間のGDPの1.6倍に増え、税収も20%だとすると160兆円も確保できます。
160兆円とは日本の税収60兆円の3年分以上です。

こう考えると資産所得を増やしていくことは、あながち理にかなっています。

岸田政権は金融所得課税を強化するのでは?

しかし、ここで一つ疑問が生じます。

そもそも岸田政権は金融所得課税の強化を検討していました。

金融所得課税が自民党総裁の論点に。税収を増やす為に税率を上げる政策は近視眼的。

個人投資家としては金融所得課税の一律強化は反対をしています。

もちろん富裕層の税率も20%であることは疑問を感じていますが、累進課税にするなど検討を進めているでしょう。
投資を活発にしたいのであれば、税収を下げる事が大切です。

NISAの強化などの検討している様子ですが、NISAもある程度の資産が必要ですしなかなか貯蓄から投資への流れになっていません。

資産所得=金融所得を増やしていくことには賛成ですが、その一方で金融所得課税の強化も検討しているので、本当に何をしたいのかが見えていません

投資を増やしていきたいのであれば、減税は必要です。
むしろ仮想通貨投資など新しい投資に税法が追い付いていないが現状です。

株式や投資信託などの税制を変えていくことも大切ですが、仮想通貨などの新しい投資に対しても柔軟な対応を期待しています。

岸田政権は資産所得倍増計画しつつ金融所得課税を強化のまとめ

岸田政権の資産所得倍増計画と金融所得課税との関係は何か?をまとめてみましょう。

①岸田政権が5月5日に資産所得倍増計画を発表
②日本の金融資産2,000兆円の内の半分以上の1,100兆円が現預金
③貯蓄から投資の流れで1,100兆円を投資に回す
④日本の金融資産は増えているが、諸外国より増えていないのは投資が進んでいないから
⑤一方で岸田政権は金融所得課税の強化を検討
⑥結局何をしたいのか誰もわかっていない
資産所得を増やしていくことは賛成です。
日本は貯蓄の比率が高すぎるので、少しでもそれを投資に回して所得を増やしていく必要はあります。
一方で金融所得への課税強化も検討しており、結局は何がしたいのかわかりません。
個人投資家としては、一律の課税強化は反対です。
ここの方針を出さないと、貯蓄から投資への流れは進んでいかないと思います。
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