時間がない人の為の資産運用術

GPIFの恒大集団への投資額は186兆円の内、たったの97億円。比率にして0.005%!

GPIFが恒大集団へ投資をしていると話題になってます。
GPIFの恒大集団への投資額は債券と株式の合計で97億円です!

私達の大事な年金を96億円もムダになる可能性があるのかと、怒っている方もいるでしょう。
しかし、GPIFの投資総額は186兆円もあり、恒大集団への投資はほんのわずかで気にする必要はないでしょう。

GPIFとはなにか?

それではまず最初にGPIFが何かを見てみましょう。

GPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人のことです。
預託された公的年金積立金の管理、運用を行っています。

つまり私達の国民年金や厚生年金などの公的年金の運用を行っています!

2020年度末時点の運用資産は186兆1,624億円
公的年金分野での運用資産額は米国の社会保障年金信託基金に次ぐ世界第2位を誇っており、世界中でも同行が注目されています。
GPIFは世界最大の機関投資家とも呼ばれています。

以前は、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という基本ポートフォリオで、債券中心の運用をしておりパフォーマンスが低い状態となっていました。
2020年4月から5年間の第4期中期目標期間においては、各25%ずつに変更され、海外へも積極的な投資をしています!

GPIFが恒大集団へ投資をしていて当たり前

さて、今回GPIFが恒大集団へ投資をしていて大丈夫か話題になりました。

GPIFの開示資料によると、3月末時点の時価総額で恒大集団への投資額は債券が59億781万円、関連会社も含めた株式が37億6520万円で合計で96.7億円です。
GPIFは186兆円を株式約6000銘柄、債券約1万5000銘柄に投資してますので、中国の大企業である恒大集団へ投資をしているのは当たり前です。

海外債券で約47兆円、海外株式でも約47兆円の投資をしていますので、恒大集団への投資はほんのわずかです。
GPIF全体資産からいえば、恒大集団への投資はわずかに0.005%しかありません。

GPIFの全体資産を100万円とすると、わずかに50円程度です。
この程度で大騒ぎする必要はありません。
投資をしていれば損をするタイミングは必ずあります。
GPIFに100%の勝率を求めるのは無理ですので、これくらいで済んで良かったと思うべきでしょう。

2020年度の運用益はなんと37兆円

GPIFは損失を出すと必ず大騒ぎします。
180兆円を超える資産を運用しているので、兆単位で損失を出すこともあれば、兆単位で利益を出すのが普通です。
マスコミは悪い面だけを見せるので、兆単位で損失を出したときには、大きく報道されます。

一方で2020年度の運用益が37兆円もあったことはほとんど報道されませんでした。
37兆円はGPIFが設立されてからの最高益です!
Wikipediaに過去の運用益の推移を引用しています。

年度 収益額 収益率(年率)
2001年度(平成13年度) −5,874億円 −1.80%
2002年度(平成14年度) −2兆4,530億円 −5.36%
2003年度(平成15年度) +4兆8,916億円 +8.40%
2004年度(平成16年度) +2兆6,127億円 +3.39%
2005年度(平成17年度) +8兆9,619億円 +9.88%
2006年度(平成18年度) +3兆9,445億円 +3.70%
2007年度(平成19年度) −5兆5,178億円 −4.59%
2008年度(平成20年度) −9兆3,481億円 −7.57%
2009年度(平成21年度) +9兆1,850億円 +7.91%
2010年度(平成22年度) −2,999億円 −0.25%
2011年度(平成23年度) +2兆6,092億円 +2.32%
2012年度(平成24年度) +11兆2,222億円 +10.23%
2013年度(平成25年度) +10兆2,207億円 +8.64%
2014年度(平成26年度) +15兆2,922億円 +12.27%
2015年度(平成27年度) −5兆3,098億円 −3.81%
2016年度(平成28年度) +7兆9,363億円 +5.86%
2017年度(平成29年度) +10兆810億円 +6.90%
2018年度(平成30年度) +2兆3,795億円 +1.52%
2019年度(令和元年度) -8兆2,831億円 -5.20%
2020年度(令和2年度) +37兆7,986億円 +25.15%
累計 +95.3兆円 +3.61%

累計で95兆円の収益を出しているのですから、恒大集団の97億円など忘れてしまっても良い金額でしょう!

GPIFの恒大集団への投資のまとめ

それではGPIFの恒大集団への投資をまとめてみましょう。

①GPIFは日本の公的年金を運用する世界最大級の機関投資家
②運用額は186兆円で、株式約6000銘柄、債券約1万5000銘柄に投資
③恒大集団への投資額は債券が59億781万円、関連会社も含めた株式が37億6520万円で合計で96.7億円
④恒大集団への投資額はGPIFの全体額からみると0.005%
⑤GPIFは2020年度は37兆円収益があるので、97億円などほぼ内に等しい
GPIFは私達の大事な公的年金を運用する立場から、損失を出すと大きく叩かれます。
個人的には投資をするのだから、損を出すこともあるのが普通というスタンスです。
今回の恒大集団への投資もポートフォリオを見れば、投資していて当たり前です。
むしろわずか97億円と思った以上に少額でびっくりしました。
投資規模が大きいので、金額だけを見ると驚くと思いますが、全体から見ればかすり傷でもありませんね。