日銀がETFの買い入れ方針を変更しました。
ニュースとして大きな話題になったのは下限の6兆円の買い入れを中止したことです。
たしかに、今の日本の株式市場を支えている要因の一つが日銀のETFの定期的な購入でした!
しかし、今回の一番注目すべきは日経平均連動のETFからTOPIX連動のETFに変更したことです!
日銀が10%以上保有する企業は70社超に
日銀の定期的なETFの買い付けは2010年に開始しました。
当時はリーマンショックから日本経済回復の為に行った政策です。
そこからアベノミクスなどの波に乗って、日銀が買い増してきたETFは2021年2月時点の簿価ベースで35.7兆円!
日経平均が3万円ほどあるので15兆円近い含み益を持っています!
その影響により、株式市場はゆがんだ状況になっています。
ETFを通して間接的に10%以上の大株主になっている企業は70社を超えています。
先日株価が10万円を超えたユニクロなどを運営するファーストリテイリングに至っては20%を超える株式を日銀が持っている計算です。
他にもTDKやファミリーマートなど日経225に組み入れられている銘柄の多くは日銀が大きな株主になっています。
日経平均は歪んだ指標
先日のNT倍率の記事でも書きましたが、日経平均は非常に歪んだ指標です。
日経新聞が選んだわずか225社の平均株価の上、株価の高い値がさ株(ハイテク関連セクターなど)の影響が強いです。
その為、日経平均株価は日本の株式市場の全体を表している訳ではありません。
先ほどのファーストリテイリングは日経平均株価へ9%以上も影響を与えており、上位の10社の株の動きで日経平均の動きの36%が決まってしまいます
一方で、TOPIXは東証一部全上場銘柄の時価総額による加重平均で計算されるため、時価総額の大きい銘柄(内需セクターなど)の影響を受けやすい指数です。
その為、日経平均株価よりはTOPIXの方が株式全体の状況を表している指標でしょう。
日銀が下限廃止したことよりもTOPIX連動型ETFの方が影響が大きい
さて、日銀が今回の発表で日経平均株価は大きく動きました。
日銀の発表内容は下記です。
ETF買い入れについて「今後、指数の構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するもののみ買い入れることとする」と発表した。また、年間約12兆円の上限を維持したが、約6兆円の原則については削除した
当初の報道では、6兆円の下限が廃止された影響により日経平均株価が動いたとされていました。
ニュースによる指標の動きを見てみましょう。
- 日経平均株価 1.41%下落
- TOPIX 0.18%上昇
- JPX日経インデックス400 0.066%上昇
このように株式指標を見ると、日経平均株価だけ大きく下がっているのがわかります。
他の指標はほぼ横ばいから少し上昇をしています。
つまり、今回の日銀の方針変更は6兆円の買い入れ下限を撤廃したことが影響したのではなく、日経平均からTOPIX連動ETFの買い入れに変更した影響ということです。
日ごろのニュースでは日経平均株価が話題になりますが、TOPIXはあまり話題になりません。
下落した日経平均株価のニュースで株式市場全体が下がっている印象を持っているかもしれませんが、株式市場全体は問題ないでしょう!
個人的にも日経平均のETFを購入するのではなく、TOPIX連動のETFを購入した方が、株式市場全体に対する影響は大きくなります。
日経平均株価は確かにニュースなどで影響力の高い指標ですが、日本の株式市場全体を支えるのであれば、TOPIX連動ETFを選んだのは正解だと思います!
日銀がETFの方針変更のまとめ
それでは日銀ETFの方針変更のまとめを見てみましょう。
②日経平均株価は歪んだ指標の為、TOPIX連動に変更がよい
③方針変更で日経平均株価は下落したが、株式市場全体は下がっていない
④日銀の方針変更は正しい変更
日銀もイグジット戦略がある為、無限に株式市場に投資をするのは得策ではないでしょう。
しかし、日本の株式市場を下支えするのであれば、インパクトよりもTOPIXのような市場全体に影響がある指標に連動すべきです。
私自身としては、今回の方針変更は非常に好感的にとらえています。
株式市場と日本経済をどのように金融面で復活させるかは日銀の腕の見せ所です。
アベノミクスからもう何年も経っています。
日経平均株価は3万円を回復していますが、世界から見れば日本経済はまだまだ回復していません!
今後の日銀の対応には期待を持っていきたいですね!