金融所得課税が自民党総裁の論点に。税収を増やす為に税率を上げる政策は近視眼的。

  • 2021年9月14日
  • 2021年9月14日
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今回の自民党総裁選挙で論点になっているのが金融所得課税です。

自民党総裁選に出馬表明している岸田文雄氏と高市早苗氏が揃って、金融所得課税の見直しを打ち出しています。
格差社会の打破には必要と言う方もいますが、個人的にはこの考え方には反対派です。

しかし、そもそもの税の在り方を考えるには良い機会だと思います。

金融所得は税率が低い

そもそもなぜ、金融所得課税が話題になっているかというと、金融所得は分離課税で優遇されているからです

事業所得や給与所得など労働の収入は総合課税で累進課税の対象です。
所得が上がるほど高くなり、最大で55%にもなります。

労働所得の税率が最大55%に対して、金融所得は総合課税ではなく、分離課税で税率が20%です。

つまり、年収1億円を労働で得ると55%の税率で5,500万円の税金を払う必要がありますが、配当などの金融所得で1億円を得た場合は2,000万円程度の税金で済みます。

労働で収入を得るよりも、金融所得で稼いだ方がお得となっており、特に金持ちが優遇されていると批判が増えています。

今回はお金持ちからしっかりと税金を取るように金融所得の税率を上げたいという流れです。

1億円の壁を打破したい

岸田文雄氏は、中間層復活のための政策として金融所得課税の見直しに取り組む考えを示し、税率のカーブが下がる「1億円の壁打破」を掲げた。

「1億の壁」は成長の果実の分配や国民の一体感を取り戻すという点から「考え直す、見つめ直す必要があるのではないか」と話しています。

ブルームバーグの表を拝借しています。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-08/QZ37GET0AFBA01

1億円までの税負担率は28%程度と徐々に上昇していますが、その後は税負担率が減少してます。
100億円超になると税負担率は16%まで下落をしています。

16%というと、年収1,500万円の人とほぼ同じ負担率です。
この表だけを見ると、1億円超の超お金持ちは税負担を高める必要があるように見えます。

金融所得は二重課税の可能性もある

配当も金融所得の一つです。

配当の原資は企業の利益剰余金です。
企業の利益剰余金は当期純利益の積み上げですので、すでに法人税を支払った後になります。

つまり、配当に税金をかけるということは企業の利益に法人税として税金を取り、個人が受け取った時に税金を取る事は、二重に税金をとっています。
配当の金融所得は二重ということです。

過去はそれを是正しようとする動きもありましたが、金融所得の課税が強まれば二重課税に対する反対は増えていくでしょう。

税収を増やす為に税率を上げるのは違う

税金の意義は富の再分配です

その為に税収を増やしていくという考え方は正しいと思います。

税収を分解すると所得×税率です。

簡単に税収を増やすには税率を上げる事が一番簡単です。
しかし、一番重要なのは所得を増やすことです。

所得を増やす為には、私達にお金を使ってもらい、企業の収入が上がり、給料が増える事、つまり経済成長が必要です。
所得を増やす議論をせずに、税率という小手先で税収を増やそうとするのは、近視眼的な政策です。

税収を増やすにはマイルドなインフレを起こし、私達の給料を上げるそもそもの経済政策が必要です。
今回の総裁選で論点にすべきはここの部分です。

東洋経済がまとめているので、しっかりと確認をしていきましょう。

https://toyokeizai.net/articles/-/455305

いずれの候補者も面白いことを言っています。

インフレ2%を目指すという一方で、河野氏は現実的な目標を模索している印象です。

税率を上げる事は簡単ですが、まずは経済政策達成に向けて何をするかをもっとアピールしてほしいと思っています。

まとめ

金融所得課税が自民党総裁の論点をまとめてみましょう。

①逆進性の高い金融所得課税が今回の総裁選の論点に
②20%から30%への税率アップの可能性
③1億円の壁はわかるが、税率を上げれば良いわけではない
④金融所得課税は二重課税
⑤税収を増やしたいなら、所得アップをもっと推し進めるべし!
プライマーバランスや税収が減っているなどの事実はあります。
しかし、必要なことは税収を増やすのではなく、所得がアップして結果として税収が増える事です。
まずは所得が増える為に何をすべきをもっとメディアは報道すべきですし、ここをもっと話し合ってほしいです。
個人的には河野さんの「企業から個人を重視する経済を考えたい」という言葉に期待をしています。
アベノミクスは企業にとっては影響がありましたが、それが個人まで降りてこなかったことが、最大の失敗要因です。
個人を重視経済を目指し、景気が良くなる流れを作ってほしいですね!
私達の今後の運命がかかっている総裁選は、是非とも注目していきたいですね!
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