2010年から2021年の投資信託ランキングを比較!投資信託は栄枯盛衰。

投資信託業界は栄枯盛衰の世界です。

投資信託で5年間も売れ筋となる投資信託はほとんどありません。
むしろ、投資信託ランキングは金融機関が売りたい投資信託が上位に入る為、その時々の流行りがわかります。

2010年から2021年の投資信託ランキングを見てみましょう!

2021年は海外・テーマ型が流行

歴史を見る前にまずは今のランキングを見てみましょう。
2021年7月の純資産ランキングです。

順位運用会社ファンド名純資産(億円)
1アライアンス・B米国成長株投信D毎月(ヘッジ無)予想分配金提示11,578
2AM-OneグローバルESGハイクオリティ成長株式F(ヘッジ無)《未来の世界(ESG)》11,363
3日興グローバル・プロスペクティブ・ファンド《イノベーティブ・フューチャー》9,477
4ピクテグローバル・インカム株式ファンド(毎月)9,413
5AM-Oneグローバル・ハイクオリティ成長株式F(ヘッジ無)《未来の世界》7,473
6ゴールドマンnetWIN テクノロジー株式ファンド B(ヘッジ無)7,293
7大和US-REIT・オープン(毎月)B(ヘッジ無)6,690
8三井住友トラスト次世代通信関連 世界株式戦略ファンド《THE 5G》6,585
9フィデリティUSリート・ファンドB(ヘッジ無)6,532
10日興デジタル・トランスフォーメーション株式F《ゼロ・コンタクト》6,434

2021年7月現在のランキングです。

2021年の投資信託のブームは海外株式・テーマ型です。

面白い投資信託は1位「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジ無)予想分配金提示」です。
基準価額に応じて分配額が決まっており、海外株式の値上がりにあわせて規模が大きくなっています。
月間で992億円も資金が流入しており、1兆円越えの投資信託としてまだまだ成長しそうです。
ただ、販売手数料は2.2%程度が多く、信託報酬も1.727%と高い水準です。

テーマ型も多く5GやDXなどイノベーションを起こしそうなテーマやESGなどの環境関連のテーマ型投資信託が2021年の流行です。
いずれもこれから伸びそうな分野やわかりやすい出来事をテーマにしています。

1兆円超のファンドは2本しかありません。

2017年は海外リートが流行

次に4年前に遡ってみましょう。
2017年7月の投資信託の純資産ランキングです。

順位運用会社ファンド名純資産(億円)
1フィデリティフィデリティ・USリート・ファンドB(ヘッジ無)12,534
2AM-One新光 US-REITオープン《ゼウス》11,314
3フィデリティフィデリティ・USハイ・イールド・ファンド9,809
4日興ラサール・グローバルREITファンド(毎月)8,880
5大和投信ダイワ・US-REIT・オープン(毎月)B(ヘッジ無)7,238
6ピクテ投信ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月)6,420
7レッグ・メイソンLM・オーストラリア高配当株F(毎月)5,873
8三菱UFJグローバル・ソブリン・オープン (毎月)5,788
9大和投信ダイワ米国リート・ファンド(毎月)ヘッジ無5,498
10三菱UFJワールド・リート・オープン(毎月)4,823

2017年は海外リート&毎月分配がキーワードでした。

2017年のランキングで2021年もランキングに残っているのはわずかに2本。
フィデリティ・USリート・ファンドB(ヘッジ無)とUS-REIT・オープン(毎月)B(ヘッジ無)のみです。

トップ10の内、海外リート以外の投資信託はわずか3本しかありません。
高配当、毎月分配という売れ筋投信を作る為には海外リートが一番良かったということですね。

1兆円ファンドはわずかに2本、2021年と変わりはありません。

2013年は通貨選択型・リートが流行

さらに4年さかのぼって2013年のランキングを見てみましょう。

順位ファンド名純資産総額 (億円)
1グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)13,961
2新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)9,422
3フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド9,122
4ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)8,767
5フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)8,097
6ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)7,670
7短期豪ドル債オープン(毎月分配型)7,260
8ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)(愛称:杏の実)6,170
9ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)5,984
10ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)5,673

2013年は通貨選択型、リート、そして毎月分配がキーワードでした。

毎月分配を継続させるためにはいかにリスクを取るかが勝負になっており、ブラジルやオセアニア通貨など利率の高い通貨に投資をするファンドが増えています。

2013年のトップ10で2021年のランキングでも残っているのは2本。
フィデリティ・USリート・ファンドB(ヘッジ無)とUS-REIT・オープン(毎月)B(ヘッジ無)のみです。
この2本は歴史もあり、比較的長寿の投資信託ということがわかります。
(当時購入してそのままの人が多い??)

1兆円超えの投資信託はグローバルソブリンオープン(通称グロソブ)のみ。
グロソブは毎月分配投資信託の先駆けとして非常に人気の高い投資信託でした。
毎月分配ブームを作ったと言ってもよいでしょう。

2010年は毎月分配が流行

最後に2010年の投資信託ランキングを見てみましょう。

順位ファンド名純資産総額 (億円)
1グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)33,628
2ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)9,639
3ダイワグローバル債券ファンド(毎月分配型)8,159
4ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)(愛称:杏の実)7,903
5財産3分法ファンド(不動産・債券・株)毎月分配型7,046
6短期豪ドル債オープン(毎月分配型)6,111
7ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)5,913
8マイストーリー分配型(年6回)Bコース5,895
9野村グローバル・ハイ・イールド債券投信(資源国通貨コース)毎月分配型5,519
10DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース)(愛称:ハッピークローバー)5,367

2010年はとにかくグロソブの時代です。
そしてキーワードは毎月分配

1兆円超えの投資信託はわずかに1つグロソブのみですが、脅威の3兆円越えです。
2006年には5兆円を超える、今では考えられない規模でした。
個人的には日本で投資信託が間違った方向に行った元凶だと思います笑

2010年のランキングで2021年もランキングに入っている投資信託はありません。
つまり10年間もの間ランキングに入る投資信託はないということです。

投資信託は栄光盛衰のまとめ

投資信託の栄枯盛衰の歴史をまとめてみましょう。

①投資信託には流行りがある
②2021年はテーマ型・海外株式が流行中
③毎月分配は10年間の人気投資信託のテーマ
④10年間トップ10に入る投資信託はない
⑤グロソブの毎月分配信仰の罪は大きい
この10年間の投資信託のランキングを見てみました。
金融機関が売りやすい投資信託である毎月分配。
このワードは10年間もの間キーワードになっています。
毎月分配の為に、ソブリン債、通貨選択型、海外リートと変遷をしています。
毎月分配のキーワードは日本の投資を間違った方向に持っていった元凶です。
ここ数年は毎月分配を狙うよりも、ESG投資やDX、5Gなどの流行りの言葉に乗っかるテーマ型投資信託も増えています。
流行りのワードなので、販売しやすいのはわかりますが考えさせられる面もあります。
次の10年で投資信託はどのようなものが流行るのでしょうか?
もうそろそろ低コストのインデックス投信が入ってきてほしいなと思っています。
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