日本の証券会社は手数料を無料にして何で稼ぐのか?

SBI証券が4月20日に予想外の発表をしました!
それはなんと25歳以下の顧客を対象に、国内株式の売買手数料を実質無料化にするというもの!
私は残念ながら25歳を超えているので、無料の対象ではないではですが、非常に衝撃を受けました!

そこでふと思ったが証券会社がなにで稼いでいるかということです。

SBI証券が値下げレースを最初にゴールした

最初に手数料にしたのはSBI証券でした。
SBI証券はネット証券のリーダーとして、口座数も長年トップを維持しています。

ネット証券最大の特徴は手数料の安さでした。

ネット証券業界ではいくら手数料を安くするかのチキンレースを繰り広げられています。
このチキンレースのゴールは手数料の無料化です。

つまり、今回の手数料無料はいつかは来るゴールだったと言えるでしょう。
この値下げレースを最初にゴールしたのはSBI証券ということです。

今回のSBI証券は25歳以下の場合、国内現物株の手数料を全額キャッシュバックすることで事実上無料にする。
手数料が無料となる顧客の対象を段階的に広げる予定で、22年までに手数料の完全無料化を目指しています。

この値下げ競争の完全ゴールは22年度中には終わりそうですね。

SBI証券のこの発表により、松井証券岡三オンライン証券DMM証券なども25歳以下の手数料無料化を発表しています。
他のネット証券もこの流れに乗って、無料化や値下げに動くことは間違いありません。
それだけ、今回のSBI証券の手数料無料化は証券会社業界にインパクトがあったということですね。

SBI証券はすでに手数料に依存しない利益構造

SBI証券は手数料を無料にするにあたり、すでに手数料に依存しない収益構造にしていました。

(出展:SBI証券の決算資料より)

 

各社の収入の状況を見ると、手数料収入は青色の「委託手数料」という部分です。
SBI証券は委託手数料はすでに28%まで下がっており、auカブコム証券に次ぐ2位の低さです。
他の証券会社はまだ40%~50%程度ありますので、手数料以外の収入源を狙って準備してきた様子がわかります。

SBIグループの21年1月の第3四半期決算説明会では、SBI証券の営業収益の17.7%を占める国内株式委託手数料の割合を5%以下にする方針を示しています。
SBI証券が着実に準備して、さらに手数料が減っても大丈夫な収益構造を目指しています。

海外の証券会社の収入源は日本では無理

海外ではゲームストップの株式で有名なロビンフッドなどは手数料無料です。

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海外ではPFOF(ペイメント・フォー・オーダー・フロー:payment for order flow)という仕組みで証券会社は収入を得ています

PFOFとは証券会社が顧客からの注文を機関投資家であるHFT(高速・高頻度取引)業者などのマーケットメーカー(値付け業者)に回し、それと交換にリベート(報酬)を受取る仕組みである。HFT業者がリベートを払ってでも個人投資家の注文という情報を欲しがるのは、そのビッグデータをAIで解析することを通じて、個人投資家の売買動向を予測するなど、自らのアルゴリズム取引の精度を高めることができることが一つの理由
(出展:野村総合研究所の「米オンライン証券のビジネスモデルPFOFが改めて注目を集める」より)

つまり、ユーザーの注文情報を元にリベートを受ける仕組みですが、この仕組みは日本では使えません。

また、チャールズ・シュワブという証券会社も手数料を無料にしていますが、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)との連携に注視しています。
ただ、日本ではIFAはほとんどおらず、この収益モデルも日本にはマッチしていません。

日本の証券会社は海外の証券会社とは異なる収益モデルが必要となります。

日本の証券会社の収入源は模索中

結局は日本の証券会社は手数料ビジネスを脱却する為の新しい収益モデルはまだない状況です。

SBI証券は地銀と連携し投資信託の信託報酬などの安定的手数料収入を拡大しています。
また、IPOの引き受け手数料などの新しい収益をドンドンと模索している状況です。

今後はIFAの拡大などを狙っていくと思われます。
ネット証券がこのIFAにどこまで入っていけるかは面白いところだと思っています。
日本でも資産運用が根付きつつありますので、投資が今後も拡大していく可能性は多いにありますね。

日本の証券会社の収入源のまとめ

それでは日本の証券会社が手数料を無料にして何で稼ぐかをまとめてみましょう。

①日本の証券会社の収益の源泉はまだ委託手数料
②手数料を無料にしたSBI証券でもまだ28%は手数料収入
③海外の証券会社の収益モデルは日本ではまだ導入できない
④日本の各証券会社は新しい収入を模索中
SBI証券が手数料を無料にしたことは、日本の証券会社にとっては大きなインパクトがあります。
手数料が下がったことにより、私達個人投資家としては利益が出やすくなりますし、これから投資をしようとしている方にとっては良いニュースです。
投資のすそ野はドンドン拡大していくでしょう。
一方で、証券会社は新しい収入源を増やしていく必要がありますが、まだ収益の柱を模索している状況です。
日本の証券業界は戦国時代に突入したと言えるでしょう。
ネット証券のリーダーであるSBI証券がどんな手を出してくるかとても楽しみですね。
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