野村、三菱、みずほ大手証券会社が大規模な損失!アルケゴス騒動とはなにか?

野村ホールディングスが2,200億円、三菱UFJ証券ホールディングスが330億円、みずほフィナンシャルグループが100億円の損失見込みを発表しました。
SMBC日興証券は影響がない見込みを発表するなど、証券業界に大規模損失のニュースが出ています。

いずれもアルケゴス・キャピタル・マネジメントの破たんの影響による損失とみられています。

アルケゴス・キャピタル・マネジメントは追い証が払えず破たん

今回の騒動をアルケゴス騒動と呼ばれ始めました

まずはアルケゴス・キャピタル・マネジメントでなにがあったかを見てみましょう。

投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが担保の追加差し入れ(追い証)に応じられずデフォルト(債務不履行)を起こしました。
追加担保の差し入れを受けられない証券会社は今回の損失を被る形で損失を出しています。

単純いうと、ハイレバの取引をした投資会社が追証を払えなかったということです。
個人でもありますが、高いレバレッジの取引で損失を出し、想定以上の損失となった場合に担保を納めるというものです。
3.3倍のレバレッジのある信用取引やハイレバFXが危険と呼ばれているのはその為です。

個人では大した影響はありませんが、アルケゴス・キャピタル・マネジメントでは資産が100億ドル(1兆円)を超え、レバレッジでポジションは一時500億ドル(5兆円)を超えている規模です。
通常、そのような会社は規制の対象となる為、ここまでの大きな損失が発生することはありません。

しかし、アルケゴス・キャピタル・マネジメントはファミリーオフィスであり、規制の対象外となっていました。

ファミリーファンドとはなにか?

リーマンショック以降、世界の金融関係の企業は規制が入っています。
リーマンショックではリーマンブラザーズ証券という大きな証券会社の破たんが引き金となって起こっており、証券会社や投資会社などの企業は規制を設けて安全に取引をしているか監視をされています。

今回のアルケゴス・キャピタル・マネジメントはファミリーオフィスの為、この規制の対象外となっていました。

ファミリーオフィスとは何か、マネースクエアの説明を見てみましょう。

ファミリーオフィスとは家族の資産を運用する投資会社です。リーマンショックを踏まえオバマ政権時代に成立したドット・フランク法で、顧客を取らず家族の資金のみを運用する組織は、ヘッジファンドやプライベートエクイティ会社に適用される証券取引委員会(SEC)の規制対象から外れました。強化された規制を回避するためヘッジファンド・マネジャーらが相次いでファミリーオフィスを設立、もしくは投資会社をファミリーオフィスに転換しました。

マネースクエアより)

つまり、もともとは規模の小さいファミリーオフィスを規制の対象外としていました。
しかし、それが大きくなり巨額の取引をしていたということです。
ファミリーオフィスは法の網をくぐる抜け穴となっていたということですね。

これからの市場への影響はどうなるか?

アルケゴス・キャピタル・マネジメントが破たんした影響は多くの証券会社に損失を与えました。

クレディスイス、野村HDを筆頭にゴールドマンサックスなどの大手の証券会社です。
野村HDは当初予定では純利益を4208億円と予測していましたが、今回の損失に加えて繰延税金資産の計上も減るとみられており1,700億円ほどの純利益になる予測が出ています。

株式相場を見ると、今回の損失は巨額ですがファミリーオフィスだったため、顧客への損失は限定的で大手証券会社の破たんもありません。
世界的な金融市場にはそこまで大きな影響はないとみられています。

しかし、ファミリーオフィスが同様の破たんが続けば、リーマンショックまではいかないと思いますが、株式相場に混乱は起きるでしょう。

アルケゴス騒動のまとめ

それでは今回のアルケゴス騒動をまとめてみましょう。

①ファミリーオフィスのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが破たん
②破たんの理由は追証が払えなくなったから
③追証がもらえず大手証券会社で巨額の損失を計上
④ファミリーオフィスは規制の対象外で未然に増えすことができなかった
⑤現状は市場への影響は限定的
ファミリーオフィスは規制の抜け道となっていました。
今回のアルケゴス騒動で今後は規制が厳しくなるに違いありません。
私達はリーマンショックで多くのことを学びました。
今回のアルケゴス騒動でも規制などでしっかりと監視をしていく体制が整っていくでしょう。
これ以上、影響が拡大しないことを願うばかりです。
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