日経平均が3万円を突破!日本の株式の実態はNT倍率を見るとそこまで回復していない

2021年2月15日に日経平均が30年半ぶりに3万円を突破しました。
日経平均が3万円台を記録するのは1990年8月以来です!
さて、このような状況でさぞかし日本株式は上昇していると思っているかもしれません。
しかし、実態はどうなのでしょうか?

NT倍率で日本の株式の実態を見てみましょう!

NT倍率とはなにか?

それではまず最初にNT倍率とは何かを見てみましょう。

日経平均株価(日経平均)をTOPIX(東証株価指数)で割ったもの。
両者の頭文字をとってNT倍率と呼び、両指数間の相対的な強さを示している。
野村證券 証券用語解説集より

日経平均がTOPIXの何倍になっているかの指標です。

日経平均はゆがんだ指数

日経平均株価は日経新聞が選んだ225社の株価の平均です。
そのため、株価の高い値がさ株(ハイテク関連セクターなど)の影響が強く、日本の株式市場の全体を表している訳ではありません
例えば一番株価の高いファーストリテイリングは10万円近い株価ですが、一番低い双日は260円ほどです。
日経平均へ与える影響の構成寄与度をみると、ファーストリテイリング(ユニクロ)が9.3%、ソフトバンクグループ4.9%、東京エレクトロン4%、KDDI3.3%、ファナック3.2%、テルモ2.6%と続き、上位10社で約36%を占めている。
つまり、たった10社の株の動きで日経平均の動きの36%が決まってしまいます
さらに言うと、ユニクロが絶好調なだけで日経平均の10%近い影響を与えます。

日経平均が日本市場の代表のように思われていますが、実際は上位の10社だけでかなり動いてしまういびつな指数です。

TOPIXの方が全体を表している

TOPIXは東証一部全上場銘柄の時価総額による加重平均で計算されるため、時価総額の大きい銘柄(内需セクターなど)の影響を受けやすい指数です。
東証1部上場の全銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数(安定株主の株数を除いた株)に基づく時価総額を合計して計算しています。
1968年1月4日を基準日として、当時の時価総額を100として指数を算出しています。

つまり、TOPIXは実際に売買されている株数から算出しているので、日経平均株価よりも日本の株式市場全体を見ることができます

TOPIXの構成寄与度をみると最大でトヨタ自動車の3.5%、ソニー2.5%で上位10銘柄でも18.7%と、日経平均よりも分散効果が高いのがわかります。

NT倍率はどんどん大きくなっている

NT倍率が変わらなければ、日経平均株価とTOPIXはほぼ同じ程度成長しているということです。
それでは実際のNT倍率の推移を見てみましょう。

この10年でNT倍率はどんどん大きくなっています。
つまり、日経平均株価の方がTOPIXよりも値上がりしている状況です。
wikipedeiaを見てもNT倍率は「一般的に10倍から12倍程度で推移するとされています」と記載がありますが、2021年2月15日時点では、なんと15.40倍
特に2020年に入ってからは差が急上昇しています。

NT倍率で見ると適正株価は2万円~2万3千円

2021年2月15日のTOPIXは1953です。
このTOPIXから10倍~12倍の数字から適正な日経平均株価を見ると2万円~2万3千円となります。
つまり、今の状況を見ると日本の株式市場全体が絶好調なわけではなく、一部の大企業の株価のみ絶好調ということです。

バブル最高値の1989年や1990年ですらNT倍率は13倍程度です。
バブル時代は日本の株式市場全体が盛り上がっていましたが、今の盛り上がりは限られた銘柄のみ恩恵を受けています。

確かに、私が持っている株を見てみても、日経平均ほどの上昇はしていません。
日本の株式市場の実体としてはそこまで株式市場全体は盛り上がっていないということです。

NT倍率のまとめ

それでは最後にNT倍率をまとめてみましょう。

①NT倍率は日経平均株価がTOPIXの何倍かになっている指標
②NT倍率の適正は10倍~12倍だが現在は15倍を超えている
③NT倍率を見ると、日本の株式市場全体は盛り上がっていない
④NT倍率で見ると、日経平均株価の適正値は2万円~2万3千円程度
NT倍率を見ると、日本の株式市場全体と日経平均株価に採用されている225銘柄がどれくらい差があるかがわかります。
NT倍率が拡大しているということは、大企業を中心に景気が回復しています。
逆にいうと、TOPIXの銘柄に投資をするよりも日経平均株価に採用されている銘柄に投資をした方が、パフォーマンスは高い可能性もあります。
特に日経平均株価に影響の大きい10銘柄に投資をする選択もあるでしょう。
日本全体の景気回復を考えると日経平均株価に一喜一憂するのではなく、TOPIXなどの他の株価指数のウォッチも必要です。
この株高がずっと続くか、日本の景気が持ち直すかは、TOPIXなどの株式市場全体の指数が回復していくことが大切です!
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